こんにちは!カンガルー師匠です。
USCPA(米国公認会計士)について調べていた時、検索ワード候補で「USCPA 使えない」というのが出てきました。Twitterでも時々JCPA vs USCPAのレスバトルやUSCPAディスが繰り広げられますが、今回はその辺について思うところを書いてみます。
プロパーJCPA vs 中年中途USCPA
USCPAが使えない(仕事できない)という話を聞いて真っ先に思い浮かんだのは、要領は悪いがマジメさだけが取り柄でたまたまUSCPAになっちゃって、年食ってから監査法人に入るもののキャッチアップ出来ずに悪目立ちしてるヤツというイメージです。USCPAの評判を落としているのはこういうヤツに違いない(笑)
当たり前のことですが、監査法人で働く職員の大半は、大学時代に日本の公認会計士試験に合格し、新卒で法人に入所した人たちです。一方で、USCPAは事業会社で何年か経験を積み、中途で監査法人に入る人が主流です。その多くが20代後半から30代前半の人でしょう。
監査法人は出来る仕事の内容で職位が決まりますから、監査未経験のアラサー中途USCPAは、いくら経理の経験があろうとスタッフという一番下っ端からスタートとなり、23歳の新卒の子と同じ扱いになります。もちろん、入所して最初に与えられる仕事も同じで、ガリガリ手を動かして雑務をこなしていくことになります。
さて、23歳の大学を出たばかりの子と、アラサーの中途が同じ仕事をして、アラサーの方が出来が悪かったらどう思われるでしょうか?非常に印象が悪いですよね?しかも、同年代であるアラサーのプロパーJCPAといえば、シニア~マネージャーとして現場で最もバリバリ活躍している人たちです。
正直なところ、JCPAと比べてUSCPAの方が、取得しようと参入する際のハードルが低くて試験も簡単なため、USCPA合格者にはあまり頭の良くない人も混ざっていると思います。優秀な同年代と比べるどころか、年下の新卒以下の仕事しか出来ないUSCPAが散見されると、全体としてバイアスがかかってしまうというのがカラクリだと思います。
なお、資格はあるけど仕事は出来ないという人はJCPAでもいると思います。前職の時、40歳は越えているであろうオジサンのスタッフが監査チームに入ってきましたが、色々と鈍くさくて冴えないオッサンという印象で、経理側からの評判もイマイチでした。ちなみに、入館証失くして廊下でウロウロしてて不審者扱いされてたこともありました(笑)。
ミーハーが多いUSCPA
資格の本気度が低いUSCPA
よく監査法人のJCPAは「公認会計士は資格勉強に青春を捧げてきた」という言い方をします。一方、USCPAは働きながら取れる資格ですし、50~70万円くらいの受講料というのも、社会人であれば死ぬ気で覚悟決めないと出せない額という程ではありません。USCPAのキラキラした海外感や、とりあえず資格があれば食いっぱぐれないというフワフワした期待も相まって、USCPA受験生にはミーハーな人が混ざっている印象です。
実際、途中で勉強を辞める人も多いですし、監査法人の転職セミナーですら、一科目も合格していない参加者が大半でしたし、体育会系の運動部VSサークルみたいな本気度の違いから、USCPAがJCPAに嫌われて叩かれて炎上するのではと思います。
監査を踏み台にするUSCPA
監査法人に中途で入所するUSCPAは、本気で監査を極めようと思っている人など超少数派で、ほとんどが数年働いて箔をつけてから、事業会社のより良いポジションに行ってやろうという魂胆でしょう。そもそも、USCPAでは日本において監査報告書にサインをすることが出来ませんから、監査法人にずっといられる訳無いですしね。ちなみに、某Big 4の就職セミナーでは、USCPAで中途で入社したものの、監査でやっていくんだと決意して休職してJCPAをとってパートナーになった方にお会いしたことがあります。
人手不足のためUSCPAを採用する監査法人
東芝をはじめ相次ぐ不正会計を受けて、監査法人に対する世間の目は年々厳しくなっています。最近は働き方改革を進めているとはいえ、増え続ける監査手続のせいで監査法人は人手不足に悩んでいました。そこで、USCPAにも門戸を開放し、採用を広げるようになりました。
しかし、上記の通り、USCPA側は監査法人を踏み台としか思っていないですし、中には使えない奴もいれば、USCPAだからオレ会計わかってるぜという舐めた態度の奴もいて、仕事が出来ないUSCPAが悪目立ちをした結果、USCPA使えない説が展開されるのだと思います。
USCPAにとってJCPAとの差別化は必須
ミーハーなUSCPAとか、地頭の良くないUSCPAとか言ってきましたが、当然ながら結局は個人次第なので、USCPAとしては気にしても意味が無いです。ただ、キャリアを考える上でJCPAとの差別化は常に意識する必要があります。
前職のUSCPAの先輩から聞いた話なのですが、JCPAの中途が何人か経理に入ってきて、「やっぱ六法の知識じゃ敵わん」と感じたそうです。そこで、その方は英語と税務の掛け合わせで、海外税務に力を入れて経理内で差別化を図ったそうです。結局その方は海外事務所のファイナンス部門でマネージャーをしており、JCPAとのガチンコ勝負を避けつつ自分が最も活躍できる土俵を見出した、USCPAの成功例と言えるでしょう。
また、会計アドバイザリーやコンサルティングも、USCPAが活躍できる職種だと思います。この分野だと、JCPAの方が「公認会計士にはビジネスやコンサルはできない」と言われることもあり、事業会社での経験を活かしてUSCPAが戦っていくことが出来るフィールドです。
USCPAは転職活動に使えない資格なのか
「USCPAお断り。JCPAのみ」という求人が無い訳ではないでしょうが、監査ですらUSCPAで入れるわけですし、USCPAが使えない資格ということはありません。というか、監査や会計コンサルは資格要件が「公認会計士または米国公認会計士」という求人が多く、USCPAは簿記じゃ行けない世界に行けるようになる資格です。
大前提として、転職活動ではこれまでの実績が何より重要であり、そもそも資格で合否が分かれることは無いでしょう。ただ、USCPAがあることで、会計と英語がある程度できて、キャリア形成に熱心で、粘り強く自己研鑽出来る人というのはアピール出来ます。面接をする側としても、そういった想定のもとで、なぜUSCPAを取ろうと思ったか、仕事にUSCPAが活きた場面があったか、どうやって仕事と勉強を両立させたかなど質問しやすいので、自然と面接がやりやすくなるでしょう。
経理社員としてUSCPAは使えない資格なのか
経理で駐在狙いなら取得することを強く勧めます。国によってはビザ要件が厳しく、専門的なキャリアがあるか問われることがあります。これは、自国の雇用を守るためで、どうしても自国民では確保できないような専門家人材だけに来て欲しい、そうじゃないなら自国民を雇えという考えのためです。この点、米国公認会計士は世界的に通用する資格です。
また、駐在員となった後でも、ジョブ型雇用が主流の海外では、ローカル経理スタッフは全員CPAということもざらにありますので、彼らに負けない肩書を名刺に書けるのは大きいです。実際、前職の駐在員の方でも、駐在してからこういった背景から勉強を始めて取得した方がいました。
まとめ
話がドンドン逸れていったので、この辺で終わりにしましょう。要するに言いたかったのは、USCPAだろうがJCPAだろうが、資格は所詮は資格なので、イチイチ気にせず自分の仕事・キャリア形成に集中しましょうよという話です。いい年して資格でマウンティングするのも、学歴廚と同じでダサいですからね。
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