【USCPAの転職】科目合格での転職活動は原則としておすすめしません

USCPA

こんにちは!カンガルー師匠です。

今回はUSCPA(米国公認会計士)の科目合格時点で転職活動をすることの是非について説明します。3つのデメリットがあるため原則としてUSCPA科目合格段階で転職活動をすることはおすすめしないのですが、全科目合格後に転職活動をすると決めている場合、求人を継続的にウォッチしておき、場合によってはエントリーまで進めてもよいというのが今回の結論です。

USCPA科目合格で転職活動をするデメリット
 ①Expireのリスクが怖すぎる
 ②転職後にエンジン全開で仕事に打ち込めない
 ③ハンデを負った状態で面接を受けることになる

デメリット① Expireのリスクが怖すぎる

USCPA試験では、最初の科目に合格した日から18カ月以内に残りの3科目を合格しなければなりません。4科目合格を揃えるまでは、合格から18カ月経過した科目は順に失効(Expire)していきます。

当たり前のことですが、転職活動はハードです。仕事をしながら求人情報の収集、職務経歴書や履歴書といった書類作成、面接対策を行い、一社あたり複数回の面接を重ねることになりますが、1~3ヶ月は非常に忙しい時期となることを覚悟する必要があります(私もかなりキツかったです)。転職活動をしている期間はまともにUSCPAの勉強が出来ないと思っておくべきです。

社会人で仕事をしながらUSCPAの勉強をしていると、決算繁忙期など仕事の都合でしばらく勉強できない日々を余儀なくされることがあります。最初の科目に受かってから18カ月で残り3科目と聞くと余裕がありそうに思いますが、意外とすぐに時間が過ぎてExpireを意識するようになってきます。転職活動で2,3カ月勉強がストップすると尚更です。

Expireした科目は当然受け直しとなる訳ですが、18カ月前に受けた科目を、もう一度出願手続きして7万円強の受験料を払って、試験対策して、4時間のテスト受けますか?相当辛いと思います。また、Expireが続いて最終的に全部の合格を失って撤退という事例も聞いたことがあります。そうなると悲惨ですね。もし転職に成功したとしても、結局USCPAを取れなかった人として入社早々に人事評価にバツがついてしまいます。

Continuous Testingと在宅勤務で状況は変わった?

上記の説明は、私が週5で出社しながらUSCPAを勉強し、試験にTesting Windowの概念があった頃の経験を元に書きました。しかし、Continuous Testingの導入とコロナ禍の在宅勤務で状況が変わった可能性があります。

まず、Continuous Testingについてですが、2020年7月以前は、Testing Windowという概念があり、四半期に1回しか試験を受けられず、落ちた場合は次の四半期にならないと再受験できないルールでした。また、3,6,9,12月は10日までしか受けることが出来ませんでした。しかし、Continuous Testingの導入後は通年でいつでも何度でも受験できるようになりました。これにより、受験のスケジュールが立てやすくなったり、Expire前に再受験するチャンスが増えると見込まれます。

続いて在宅勤務ですが、一般的に通勤時間が無くなった分、自由に使える時間が増えているはずです。さらに、転職の面接もオンラインの場合が多く、家で定時まで仕事をし、そのまますぐにオンライン面接というスケジュールだと夜はたっぷり自由時間があります。

以上から、依然としてハードなことは変わりありませんが、転職活動をすることによるUSCPAのExpireリスクは以前より若干緩和されたといえます。

デメリット② 転職後にエンジン全開で仕事に打ち込めない

次はデメリット2つ目。めでたく転職に成功した後の話です。中途で入社する人にとって、入社直後の期間は一日でも早く転職先の業務にキャッチアップし、バリューを出せるようになるための大事な期間です。新しい同僚と信頼関係を築く、社内のルールを覚える、システムに慣れるなど、仕事そのものに加えてやらなくてはならないことが山のようにあります。本来であれば中途入社直後はエンジン全開で仕事に打ち込んでキャッチアップしないといけないものの、USCPAの試験があるとそれが出来ません

中途入社は新卒とは違うので、一人前の給料をもらいながら育ててもらうという認識ではダメです。当然、周囲も早急なキャッチアップを期待しています。もちろん、定時まで働いていたら文句を言われる筋合いは無いというのは正論なのですが、正論を振りかざしても周囲の人からの評価は自分の思うままに出来ません。試験を理由にキャッチアップが遅れて損をするのは自分自身です。

アビタスの就職セミナーに出てきた社員の方で、「科目合格で入社したが、周囲の方の理解があって試験前は有給を取らせてくれた」と言っていた人を見たことがありますが、その人はラッキーだっただけで、それが当たり前と思うのは危険です。

デメリット③ ハンデを負った状態で面接を受けることになる

デメリット3つ目です。次は採用する側の気持ちになってみましょう。企業側は「コイツを採ってウチに何のメリットがあるか」という視点で求職者を見ています。上記の通り入社後にExpireし続けてUSCPAになれないリスクがあり、入社後のキャッチアップも遅れるかもしれない科目合格者は、それを上回るメリットを採用側に認めてもらう必要があります。こんな観点は合格者には一切ありません。つまり、科目合格という時点でただのハンデです。中途採用は当然落ちた後数年は受けるのをお断りされるので、ハンデを負った状態で一発勝負の面接を受けない方がいいというのは当然の話です。

USCPA学習段階から求人をウォッチし、チャンスがあれば応募しよう

ここまでUSCPA科目合格で転職活動をすることはおすすめしないと述べてきました。しかし、激しい手のひら返しで恐縮ですが、合格後に転職を予定しており、ある程度候補が絞れている人に限っては、学習段階から求人をウォッチしておき、チャンスがあれば受けた方がいいのです

水物の中途求人を逃さない

中途採用の求人は水物、つまりその時々によって条件が良かったり悪かったり、さらには求人があったり無かったりします。例えば、既に安定期に入っている大企業だと退職や異動で欠員が出た時、新拠点立ち上げなどの特別なイベント時など限られた状況でしか求人が出ず、出てもすぐに埋まってしまいます。また、ビジネス拡大中で一定のペースで採用をしている企業でも、年度の採用予定に達しつつあるので採用意欲が落ち、数カ月前と比べてハードルが上がっているといった求人の裏に隠れた情勢の変化もあります。

したがって、USCPA全科目合格を待っているうちに良い求人のチャンスを逃すことの無いよう、転職を予定しており目星がついている人は、常に求人をウォッチしておきましょう。この際、前もってエージェントと話をつけておくと、大変スムーズに進みます。

私の場合、3科目合格の時点で転職の意向がある程度固まっていたため、アビタスのエージェントに求人情報のキャッチアップをしてもらっていました。私は残り1科目でしたし、全科目合格の方が内定が出る確率が高いということで、4科目目に受かってから転職活動を始めましたが、必ずしもそうでないケースもあるでしょう。科目合格でも長いことは残っていないであろう良い求人が出てきた場合、思い切って受けてみるのもアリです。

結局はリスク選好の問題

最後にUSCPAっぽく締めましょう。結局はBECのEnterprise Risk Managementで学ぶように、どの程度のリスクをとってどのくらいのリターンを狙うかというリスク選好の問題なのです。事実として言えるのは、USCPAに全科目合格していない段階での転職活動には本記事で述べた3つのデメリットがあるということです。しかし、Continuous Testingや在宅勤務といった情勢の変化もありますし、何より個人の努力でリスクは低減(Reduction)出来るのです。

ですから、USCPA科目合格での転職に迷っている人は、一度落ち着いてリスクとリターンを考えてみましょう。中途半端に転職活動を始めて、勉強とどっちつかずになるのはハイリスクローリターンですね。狙いの求人がある程度決まっていて、USCPA受験と転職活動を並行するリスクを低減できる見込みがあるのなら、チャレンジするべきでしょう。

それではこの辺で失礼します。

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