こんにちは!カンガルー師匠です。
今回はUSCPA(米国公認会計士)を独学で受験するか、普通に予備校に通うべきかについての記事です。結論から言うと、絶対に予備校を使うべきであり、独学は予備校代(50万円程度)が浮くとはいえ、デメリットだらけです。USCPAに受かれば、昇進なり転職なり駐在なりで50万円くらい楽に回収出来ますし、そもそも試験に合格出来ないと本末転倒です。普通の人は金をケチらずに予備校を使いましょう。
予備校を使わずにUSCPAを受験する意義がある人は、この記事で述べるデメリットが問題にならない特殊な人に限られます。具体的には、大学(特に海外の)で会計をガッツリ勉強し、既に十分な会計知識を持っているJCPAやベテラン経理マンのような人ですね。
という訳で、USCPA独学のデメリットを順次見ていきましょう。
USCPA独学のデメリット6つ
独学でUSCPAを受験しようとした際に生じるデメリットは下記の通りです。
独学でUSCPAを受けるデメリット
①受験手続がわからない
②会計やビジネス科目の単位が取得できない
③講義が聞けない
④最新の出題範囲や傾向を反映した教材が得られない
⑤困った時に質問が出来ない
⑥(人によるけど)予備校の方が勉強しやすい
受験手続がわからない
USCPA試験では、一科目目を受ける前に学歴証明をNASBAに送り、4年制大学で一定の単位数を取って卒業しているか、また会計やビジネスの単位をいくつ取っているかを証明する必要があります。また、USCPAでは4科目の試験を受けることになりますが、毎回願書を出す必要があり、日本の試験会場を予約する必要もあります。
英語の書類に必要な情報を記入し、卒業証明など所定の書類を集めてアメリカへ送る手続きは煩雑ですが、予備校なら記入例付きの丁寧な解説があります。ネットに気の利いたページもなく、一から自分で調べて手続きをするのは非効率的です。ただでさえこうした受験手続ではトラブルが起こり得るうえに、手続きに不備があると独学で合格云々の前に試験を受けられない可能性すらあります。
会計やビジネス科目の単位が取得できない
USCPAでは州ごとに要件が異なるものの、どの州でも試験を受けるためには会計やビジネスに関する大学の単位を取得していることが条件になります。日本の大学で会計や経営に関する学部を卒業している場合、幸運にもその単位で受験資格を満たせるかもしれませんが、多くの人がそうはいかず、何らかの単位を追加で取得する必要がでてきます。
予備校では単位の取得サポートも行っており、私が通っていたアビタス校ではテストを受けて単位を集めることが出来ました。USCPAの各科目の勉強内容とほぼ同じ内容のテストで、自宅にいながらPCで受験できるため、ゼロ単位から始めた私も、単位については全く問題になりませんでした。
講義が聞けない
簿記のテキストのような気が利いたUSCPAの教材で日本語のものは市販されていません(もちろんアメリカで売られている英語のテキストはありますが)。独学でUSCPAを受ける人は、勉強を途中で止めた人がメルカリやヤフオクに出品している予備校のテキストを買うことになります(相場は数万円でしょう)。
一応テキストは予備校生と同じものを入手できるとはいえ、講義が聞けないため、全て自分で読み込むこととなります。よほど賢い人や元から会計に詳しい人でない限り、経験豊富なプロの講師による解説や、試験でよく出る点の説明を聞いた方が効率よく学習することが出来ます。
最新の出題範囲や傾向を反映した教材が得られない
USCPA試験は科目によっては頻繁に出題内容の改定があり、メルカリで買ったテキストでは、それに対応できません。例えば、会計のFARという科目では会計基準が変わると当然出題内容も変わります。また、REGという法律と税法の科目では、米国の税制改正を受けて出題内容が変わります。最近だとトランプ大統領就任後の税制改正で出題内容が大きく変わりました。テキストだけ買ったとしても、もはや試験に出なくなった内容や、間違いですらある内容を勉強してしまう可能性があります。予備校に通っていれば、タイムリーにテスト範囲の変更や、それに伴う教材の差し替えがアナウンスされます。
また、USCPA試験では本番直前に実践的な演習をしっかり仕上げることが合格へのカギとなります(FARの記事を参照)。アビタスでは、特別対策講義、模試、AICPAリリース問題と実践的なコンテンツが揃っていますが、これまたメルカリでテキストを買っただけでは取り組むことが出来ません。私はアビタスのテキストは9割以上の正答率まで仕上げましたが、それだけでは不十分で、仮にこれら実践演習をしていなかったら合格出来ていなかったと思います。
洋書の教材、つまりアメリカ人が使う英語のテキストを買えばある程度は模試や過去問に取り組むことは出来ます。とはいえ、普通の人がわざわざハンデを追って独学に挑戦する意義が感じられません。USCPAは一科目目に合格した日から18カ月以内に残り3科目受からないと一科目目は失効します。失効した科目を再受験するとまた試験代が7万円ほどかかることになりますし、全部合格出来るまで時間がかかってしまうので、合格確率を少しでも上げて1年ちょいで終わらせに行く戦略の方が合理的です。
困った時に質問が出来ない
上述の受験までの手続きもそうですし、勉強をしていてわからない箇所があった時に質問できるのが予備校のメリットです。アビタスの場合、教室はもちろん、オンラインでも簡単に質問が出来ます。
(人によるけど)予備校の方が勉強しやすい
教室では、予め決まったカリキュラムで授業が開催されますので、授業に合わせて予習と復習を行うことで、きちんとしたペースで勉強が続けられます。また、教室には自習室もあるため、家では勉強をサボりガチという人も、教室に行く習慣をつけることで勉強を続けられます。
しかしながら、この点に関しては人それぞれで、自宅で学習する方が良いという人もいるでしょう。実際、私もアビタス予備校に入ったものの、教室には一回も行きませんでした。仕事やプライベートの都合で必ずしも教室の授業に合わせられませんし、通学時間が無駄であったり、家の方が落ち着くということで、ずっと家でE-learningの講義を受け、問題演習をしていました。なので勉強スタイルとしては独学の人と全く変わりありません。
特に昨今は新型コロナウイルスの影響で自習室が閉鎖になったり、予備校のオンラインとしてのメリットが弱くなっているのは事実です。
USCPAに合格すれば予備校代は回収できる
冒頭にも述べましたが、USCPAに合格すれば、長期的に昇進、転職、駐在のいずれかで予備校代を回収できる可能性は極めて高いです。
USCPAに必要な費用についてはこちらの記事をご覧ください。
予備校代には幅がありますが、仮に50万円としましょう。50万円という金額は、転職の年収アップで一発で回収できる水準ですし、仮に昇進で2万円月給が上がった場合でも、ボーナスも加味すれば2年以内に回収できるレベル感です。また、仮に独学でUSCPAに受かったとしても、合格までに時間がかかり、転職や昇進が1年遅れればその分損をしますよね?(USCPA的にいうと、キャッシュインが遅れることによる経済性の悪化)
そもそも予備校代に躊躇する奴は覚悟が足りない
社会人になりたてとか、家庭の事情とかで50万円強というまとまった金額を用意することが難しい人もいるでしょうが、だからといって独学で中途半端に勉強する方が余計金と時間を無駄にする可能性が高いと思います。
USCPAを始めようと思った時、「試験難しそうだし、予備校に大金払って途中で止めたらお金が無駄になっちゃう」というのは誰しも頭をよぎることでしょう。しかし、USCPAはその程度の覚悟で合格できる試験ではありません。お金を理由に躊躇する人は手を出さない方がいいです。「USCPAを取って将来をこう変えるんだ」という想いと具体的な計画が無いと、途中で仕事が忙しくなった時、試験に落ちた時などのピンチに踏みとどまることが出来ません。
以上、長くなりましたが、予備校を使わないとあまりにデメリット多いし、受かっちゃえば予備校代くらいすぐに投資回収できる目途もつくし、JCPAクラスの人を除いてUSCPA独学は止めといた方がいいよという記事でした。
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