こんにちは!カンガルー師匠です。
今回は大学生が就活のためにUSCPA(米国公認会計士)を取得するメリットと、その際の注意点について解説します。結論から言うと、財務経理の職種別採用またはプロフェッショナルファームを狙っており、就職後も財務経理を軸にキャリア形成していきたい就活生にとってUSCPA取得はメリットがあります。
そもそものUSCPAの強さに加えて、コロナ前のように留学やゼミ、サークルなどのキャンパスライフで経験が積みにくく、ジョブ型雇用に移行すると言われているこれからの時代、大学時代にUSCPAに投資するメリットは以前より大きくなっています。ただし、貴重な大学時代の時間を資格勉強にあてること、社会人でも難しいUSCPAにチャレンジすることにはリスクもあります。本記事では、USCPA試験の制度などの詳しい説明は省き、取得するメリットと注意点に絞って詳しく解説します。
大学時代にUSCPAを取得する4つのメリット
①就活時に専門性×英語という強みで差別化できる
②入社後のスタートダッシュで同期に差をつけられる
③就職してからもキャリアの幅が広く、潰しが効く
④一生モノの会計の知識が身に付く
大学生がUSCPAを取得する際の注意点
①職種別採用かプロフェッショナルファームを受けることが前提となる
②貴重な学生時代の時間を投資する価値があるか吟味するべき
③USCPAの受験資格を満たせるか調べる必要がある
④100万円を超える受験費用の工面
⑤実務経験不足をカバーしなくてはならない
大学時代にUSCPAを取得する4つのメリット
では、まずメリットを一つずつ見ていきましょう。
①就活時に専門性×英語という強みで差別化できる
USCPAはアメリカの公認会計士資格であり、アメリカ以外の国でも通用する肩書です。この資格を持っているというだけで、一定の専門性と英語力があることの証明となります。USCPAは社会人でも専門性×英語の掛け合わせで転職に強い資格ですので、新卒就活においては強力な差別化が出来ます。
会計の専門性アピール度合いでは、日本の公認会計士・税理士>USCPA≒簿記1級>>>簿記2級くらいの感覚です。英語については、大手企業にもなると内定者のほとんどが帰国子女または留学生でTOEIC 900点以上がザラという世界です。専門的内容の試験を英語で受けて合格したという実績があれば、英語が出来るだけの彼らとは違う角度から英語力を示せます。英語が出来る経理の社会人でもUSCPAは簡単に取れる資格ではないので、学生なら更に強力な実績としてアピール効果大です。
②入社後のスタートダッシュで同期に差をつけられる
財務経理の仕事は会計基準や税法といった法令がベースにあり、体系立てた知識を常に勉強する必要があります。どんな仕事でも勉強することはありますが、財務経理は化学工学や機械工学などの学問をベースとする技術系に近い側面があります。
財務経理を何も知らない新卒は入社後に簿記3級から勉強を始めたり、プロフェッショナルファームでは入社から一定期間にUSCPA取得を課しているケースがあります。一緒に入社した同期がゼロからのスタートとなるのに対して、大学時代に基礎を身に付けていると、仕事にすぐに適応し、同時により実践的な勉強に時間を使えます。
筆者は入社2年目からUSCPAの勉強を始めましたが、学んだ知識を仕事に応用する→実践的な知識を身に付ける→さらに難しい仕事に挑戦するというサイクルが回るようになりました。そのおかげで若手経理の中から社内プロジェクトのメンバーに抜擢してもらったり、転職で評価してもらえる経験を得ることが出来ました。
③就職してからもキャリアの幅が広く、潰しが効く
USCPAは会計関連の知識を広く学ぶため、財務経理でのキャリアアップはもちろん、事業投資管理や経営企画へのキャリアシフトにも役立ちます。当然、英語力を活かして、海外駐在や外資系企業への転職の可能性も開けてきます。また、EYやデロイトといったBig 4をはじめとしたプロフェッショナルファームへの道もあります。
また、最近日系企業の中でもジョブ型雇用に移行する動きが出ていますが、上記の通り財務経理は共通のルールをベースにした仕事ですので、会社を変えても仕事がしやすく、潰しが効く職種です。ジョブローテーションで関連性の無い部署を転々とし、専門性に乏しく社外では通用しなくなったオジサンがジョブ型雇用に怯えていますが、大学時代から専門性を磨き、それを軸にキャリアアップしていく働き方は新時代のスタンダードとなるでしょう(実際に海外はそっちが普通です)。
④一生モノの会計の知識が身に付く
企業活動の結果を数字で表現する会計は、どのビジネスでもどの職種でも役に立つ知識です。実際、日経新聞や東洋経済のようなメディア、ビジネス書においても常に社会人全般に向けた会計の記事・書籍が頻繁に出ています。それらの内容から考えるに、「社会人なら財務諸表くらい読めるようになりたい」「決算を分析出来るようになりたい」というのが社会人の平均的レベル感な訳ですが、USCPAの知識はそれを遥かに凌駕します。
それほどビジネスパーソンにとって重要な会計を、資格学習を通じて若いうちにしっかり身に着けておくと、今後何十年にわたって貴重な武器となります(ただ、会計基準は定期的に改訂され、ビジネスも時代とともに変わるので常にキャッチアップするための勉強は必要です)。
大学生がUSCPAを取得する際の注意点
ここまで、大学時代にUSCPAを取得することのメリットを述べてきましたが、注意点も多くあります。それらをクリアできる見通しを立ててからチャレンジしましょう。
①職種別採用かプロフェッショナルファームを受けることが前提となる
まず、USCPAは財務会計に特化した資格であり、それを活かせる職種へ就くことが確定している採用でないと効力を発揮できません。また、キャリアチェンジは不可能ではないものの、社会人になってからも基本的に財務経理の領域がキャリアの軸になります。
具体的には、新卒USCPAの場合、財務経理の職種別採用か、会計関係のプロフェッショナルファームを狙うことになります。大学時代にUSCPAの勉強を始める前に、行きたい会社が職種別採用で財務経理を募集しているか、ファームに行きたいか、財務経理の領域でキャリア形成していく覚悟があるかをよく考える必要があります。
日系企業もジョブ型雇用に移行するとは言われているものの、未だ多くの会社は総合職として一括採用し、後から会社が配属先を決める制度です。面接で興味のある職種や部署を聞かれますが、多くの人が希望通りにはいかず、入社してから運任せとなるため配属ガチャとさえ言われています。そういった総合職一括採用をしている会社は、「配属はウチが入社後に個人の適正を見て決める」という考え方なので、「USCPAを武器に財務経理として入社したい」と全面に押し出しても、逆に会社の方が持て余してしまう可能性があります。
筆者が軽く調べた限りだと、以下の企業で財務経理の職種別採用をやっていました。筆者の知人に、USCPAではなく日本の公認会計士ですが、メーカーの経理に職種別採用で入り、若いうちからガンガン経験を積んで、転職、駐在とステップアップされた方がいます。この記事を読んでいる人にとってロールモデルとしたいようなキャリアではないでしょうか。
②貴重な学生時代の時間を投資する価値があるか吟味するべき
詳細は下記の記事で説明していますが、USCPAの取得には1,000~1,200時間の学習が必要です。3,000時間以上という日本の公認会計士と比べると少ないとはいえ、平均して毎日3~4時間の勉強を1年以上続ける必要があります。
大学時代のまとまった自由に使える時間というのは本当に貴重であり、大学時代にしか出来ないことがあるなら、そちらを優先させるべきです。貴重な大学時代の時間をUSCPAに本当に1,000時間つぎ込むのか、よく検討してください。余談ですが、日本の公認会計士は自虐的に「学生時代の青春を試験勉強に捧げた」というような言い方をする人もいます(笑)。
昨今はコロナによって大学はずっとオンライン授業のみであり、サークルやゼミなどのキャンパス活動も出来ず、もちろん留学も行けない状況です。恐らく新卒採用市場は今後数年は悪化しますし、限られた椅子を出来ることが限られた状況で奪い合うという、非常に酷な時代になる可能性が濃厚です。ピンチこそチャンスということで、以前よりはUSCPAチャレンジに追い風が吹いている時代といえます。
③USCPAの受験資格を満たせるか調べる必要がある
USCPA試験を受けるには学歴や取得単位の条件があります。条件は州によって異なるのですが、大学生の場合、社会人より受験のハードルが上がります。詳細はアビタスやTACのような予備校でカウンセラーの話を聞いて欲しいのですが、いざ勉強を始めようというときに、まず受験資格について調べて対応をする必要があるということを覚えておいてください。
④100万円を超える受験費用の工面
詳細は下記の記事で説明していますが、USCPA合格までには多くのケースで、予備校代と受験料合わせて100万円以上かかります。
一応予備校には学割プランがあったりもするのですが、いかんせん学生が自分で用意するには大変な金額がかかりますので、親御さんとよく相談してください。
⑤実務経験不足をカバーしなくてはならない
USCPA試験では財務経理の実務に即した問題が多く出題されます。財務経理の業務経験がある社会人だと取っ付きやすいのですが、大学生は試験勉強を通じて実務の感覚にも慣れる必要があり、その分社会人より試験対策に苦労すると思います。とはいえ、営業やSEの社会人でも、財務経理にキャリアチェンジするためにUSCPAに挑戦する人は大勢いますので、業務経験が無いと合格出来ない訳ではありません。
そんな経理の実務経験が無い大学生USCPA受験生におすすめなのが、「Accountant’s library(アカウンタンツライブラリー)」というサブスク型の動画サイトです。月額980円(税込)のプレミアムプランでは、経理の仕事に役立つ100以上の講座が見放題です。USCPA予備校の講座でカバーしきれない経理実務について学習できる動画に加え、簿記3級、2級の講座もあります。
日商簿記3,2、経理の仕事に役立つ150以上の動画を学ぶサイト【Accountant’s library】
上述の通り、大学生でUSCPAを取って就活に臨む場合、財務経理関連での就職が前提となります。USCPAを始めようか悩んでいる人は、「Accountant’s library(アカウンタンツライブラリー)」は登録初月は無料お試し期間となるので、まず経理の仕事がどんなものか調べてみることをおススメします。
USCPAの前にまずはTOEIC、簿記3級、2級から
最後に、USCPAを始めようか迷っている大学生に重要なアドバイスです。
財務経理関係の就職に絞り、100万円と大学時代の1,000時間をUSCPAに投資する前に、TOEICと簿記2級まで取得することをおススメします。TOEICは大手企業を受けるなら必ず800点以上取っておくべきであり、TOEIC未受験/低スコアだと他の就活生と比べて悪目立ちします。また、そもそもTOEIC 800点くらいのスコアが無いと、USCPAに合格するのは英語力的に厳しいです。
簿記についても、USCPA試験は簿記2級より難しいので、先に日本語で簿記から基礎を固めておいた方が確実です。
ハイリスクハイリターンの投資をする前に、ローリスクハイリターンのものからクリアし、学習習慣や成功体験を積み重ねてからステップアップしていきましょう。
まとめ
大学時代にUSCPAを取得する4つのメリット
①就活時に専門性×英語という強みで差別化できる
②入社後のスタートダッシュで同期に差をつけられる
③就職してからもキャリアの幅が広く、潰しが効く
④一生モノの会計の知識が身に付く
大学生がUSCPAを取得する際の注意点
①職種別採用かプロフェッショナルファームを受けることが前提となる
②貴重な学生時代の時間を投資する価値があるか吟味するべき
③USCPAの受験資格を満たせるか調べる必要がある
④100万円を超える受験費用の工面
⑤実務経験不足をカバーしなくてはならない
ここまで長文の記事を読んで頂きありがとうございました。当ブログでは就活生に役立つ記事、経理からUSCPAを取って会計コンサルに転職した筆者の体験談をたくさん掲載しておりますので、他の記事も参考にしてください。
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